不動産業界のことも知っておこう④~専任返しについての追記~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

不動産業界の外側の人間ですが、不動産業界のことも知っておきたいな
ということで3回にわたって仲介手数料囲い込み専任返し
というテーマで記事を書いてきました。

その3回で完結するつもりだったのですが、
Twitterでありがたいご意見をいただいたので、
その④として、専任返しについてもう少し書いていこうと思います。

その①〜その③の振り返り

その①では仲介手数料についてまとめました。
売買を行う不動産業者の収入源であり、
売主さんからは売却のお手伝いをした不動産会社へ、
買主さんからは購入のお手伝いをした不動産会社へ、
成約価格の3%+6万円を上限として仲介手数料が支払われます。
売主さん・買主さんがひとつの不動産会社に支払う場合もあります。 

chukomansionman.hatenablog.com

その②では囲い込みについて言及しました。
不動産会社の収入源は上記の仲介手数料ですから、
なるべく多くの仲介手数料を手に入れたい、とできる仲介マンは思うわけです。
その結果、売主さんから売却依頼を受けた仲介業者が、買主を自分で見つけて、
双方から仲介手数料をもらえるように不正を働くことが多々あります。
これが囲い込みと呼ばれ、不動産業界の悪しき習慣のひとつです。

chukomansionman.hatenablog.com

その③では、専任返しという仕組みについて解説しました。
売主さんから売却依頼を受けた不動産仲介会社が、利益の最大化を図るため、
エンドユーザーではなく、買取再販を行う不動産会社に積極的に物件を
流すということが頻繁に行われています。
不動産仲介会社は、うまくいけば「片手仲介」の約4倍の仲介手数料
を稼ぐことができるのです。
売主さんから依頼を受けた不動産仲介会社にとっては、
ボロボロの3000万円の中古物件が1億2000万円の物件になり得るのです。

chukomansionman.hatenablog.com

売主さんにとってのメリットもあります!

Twitterにて、ようすけさんからコメントをいただきました。
不動産業界で働く方からのご意見はとても参考になります。

ありがとうございます!
先のブログでは、不動産仲介会社さんが自分の儲けしか考えていない
悪い奴のような書き方になっていましたが、そんなことはないですね。
ご指摘いただいた通り、売主さんからしても色々な事情がありますから、
一般の方に売るよりも業者に売ってしまいたいというニーズに応えて
買取再販会社さんに流すというのは売主さんのためになります。
売主さんにとってのメリットについてもまとめてみます。

すぐに売却できる

買取再販会社に売るとなれば、すぐに売却できます。
売主さんが仲介会社に相談した時点で、仲介会社さんは、
いくらなら即決できるか、買取再販会社に確認をします。
相場よりは低い金額とは言え、この金額まで下げればすぐに売れる、
という保証があるのは、お金が必要な売主さんにとってはありがたい事です。

こっそり売却できる

住まいを売りたい人も、その事情は人それぞれです。
なるべく近隣に売りに出している事・転居することを知られたくない人もいます。
部屋番号までは記載しなくても、
「〇〇マンション△階 東南角部屋」
なんて書かれたら、どの部屋かわかってしまいますよね。
売却を表に出ないように進めたい人は、その旨を仲介会社さんに相談し、
すぐに買ってくれる業者さんを紹介されたりします。
そうすれば、売りに出ていることが表に出ることなく取引が完了します。

そわそわしなくて済む

1ヶ月で売れるのか、3ヶ月かかるのか、半年経っても売れないのか。
家を売りに出すとそんな心配がついて回ります。
毎週の内覧の依頼が来て、時間を調整して受け入れて・・・
色々な人が我が家を見にくるも、一向に手を上げてくれる人は出てこない・・・
そんな時間を過ごすのは精神衛生上よくないですよね。
「希望の金額でこのタイミングまで買いたい人が出てこなかったら、
 金額は下がるけど確実に売却はできます」
という保証があることは売主さんにとっては安心材料になります。 

にこにこ現金払い

買いたい人が現れ、諸々順調に進んでいたのに、
買主さんのローンが否決になって契約が壊れてしまった・・・
また1から買いたい人を探すのは気が滅入りますね。
ただし、年間に何十件も何百件も買っている買取再販会社さんだったら
そんな心配はありません。
現金払いなので、買主さんのローンが通るかどうかの心配なんて無用です。

また、中には接道の関係などで住宅ローンでは融資が受けられない物件があります。
そんな物件を売るとなれば、買える人は現金を持っている人に限られます。
一般の方で物件を現金で買う方は少数派で、大多数は住宅ローンによって
物件購入のための資金調達を行います。
困ったな、なかなか売りにくいな、という時であっても、
買取会社は現金で購入してくれます。
ローンに難がある物件を売るときには心強い存在です。

後腐れなく売却できる

通常、中古物件を売却する場合は引渡しから3ヶ月程度は
瑕疵担保責任がついてきます。
売却が完了し、新しい所有者が住み始めてからも、
家に隠れた瑕疵があった場合、その期間内は売主さんが
補修やその費用負担をしなければいけないという取り決めです。
例えば、自分が住んでいるときは特に問題がなかったのに、
売却後に排水管から水漏れが起こってしまった時などは
瑕疵担保責任の期間内であれば売主さんの責任で補修を行います。
ところが、買取再販業者が購入する場合は、
「瑕疵担保については免責でいいですよ」
という条件を提示してきます。
瑕疵担保免責であれば、後腐れなく売却できます。

とは言え、こんなケースはやっぱり良くない

上記の通り、売主さんにとってメリットがあるのであれば
買取再販会社に物件を買ってもらうことはいいことですし、
何も問題はないと思います。

ところが、実際には、より高く売りたい売主さんがいて、
相場通りの金額で買いたい買主さんがいるのに、
その事実が売主さんに告げられぬまま、
買取再販会社に物件が流れてしまうケースも存在します。
不動産仲介会社が、情報を握りつぶしている場合です。

売主さんから売却の依頼を受けた仲介会社さんが、
買取再販会社に相談し、この金額ならすぐに買うという確約が取れたとします。
その確約を元に、売主さんと仲介会社さんで相談を行い、
特に他の案内がなければ買取再販に売りましょうかね、
ということで話が進んでいたとします。(契約はまだです)

そんな折、「その物件を買いたい」という一般の人が登場したらどうでしょう。

もしもその買いたい方が、売主さんから依頼を受けた仲介会社に
直接問い合わせてきたのであれば、購入することはできるでしょう。
しかし、買いたい方が、別の仲介会社さんに問い合わせをしたとすれば、
そもそも内覧をすることすらできないかもしれません。
前者であれば、業者に売るにせよ、一般の方に売るにせよ
どちらの場合も「両手仲介」にはなります。
ところが、後者の場合は業者に売れば「両手仲介」となり、
一般の方に売るとなれば「片手仲介」になってしまいます。

売主さんの利益=高く売るということを考えるのであれば、
業者よりも高く買ってくれる一般の人に売却すべきです。
それでも、上記のように、そうならないケースもあります。

まとめ

売りたい人も買いたい人も、一般人であれ業者であれ、
フェアな取引が行われることが一番ですよね。
長くなってしまいましたが、物件を売りたい・買いたい人は、
このような仕組みがあることについては知っておきたいですね。

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では、この辺で。

不動産業界のことも知っておこう③~専任返し~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

これまで、仲介手数料、囲い込みと、不動産業界に関わる
テーマについて書いてきましたが、今回が最後のテーマになります。

chukomansionman.hatenablog.com

chukomansionman.hatenablog.com

 

今回は専任返しという仕組みについて取り上げてみますが、
元々はこの専任返しについて書こうと思っていたんですね。
ところが専任返しを説明するためには、仲介手数料のお話とか、
囲い込みのお話とか、この辺りを予め解説しておかないと、
長くなりすぎてしまうなと思い、3本だてにしたという経緯があります。
なので「不動産のことも知っておこう」の中でも、
今回が一番気合が入っているのです。

 

登場人物紹介

専任返し、、、なかなか普段の生活で耳にすることはないですよね。
ただ、中古マンションの世界にいると、当たり前に聞こえてくる言葉です。
専任返しについてお話するために、まずは登場人物を紹介します。

まずは、自分の物件を売りたい人=売主さんです。
現況(住んでいるままの状態)のお部屋を持っていますね。

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次に出てくるのが、今回の主役と言ってもいいでしょう、
不動産仲介会社さんです。ちょっと悪そうな顔してますね。

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それから、不動産会社の中でも、仲介さんとは別の役割を担う、
買取再販会社さんです。

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最後に、あまり登場する機会はありませんが、
買取再販会社がリフォームして売り出した物件を
買いたい人=買主さんです。

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この4者によって不動産の取引が行われることになりますが、
上で書いたように、主役は不動産仲介会社さんであることが、
この先読み進めていくとわかってくると思います。

仲介会社と買取再販会社

今回2種類の不動産会社が登場しています。
「仲介」と「買取」です。
具体的な取引の流れを見る前に、それぞれの役割を簡単に説明します。

仲介会社

文字通り、不動産の仲介、つまりは売りたい人と書いたい人の橋渡し
を行う不動産会社です。
三井のリハウス東急リバブル住友不動産販売などの店舗を
駅前で見かけたことがあるのではないでしょうか?
他にも色々な会社がありますが、基本的にはBtoCのお仕事で、
収入源は仲介手数料となります。

買取再販会社

不動産を買い取って、転売し、利益をあげる会社です。
BtoBのお仕事なので普段の生活で存在を意識することはないでしょう。
SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトを見る中で、
「新規リフォーム済み」などと謳う物件を見たことがあるでしょうか。
見たことがない方は適当な条件でSUUMOで検索してみてください、
嫌っていうほど出てくると思います。
そこに載っている「リフォーム済み」「リノベ済み」の物件を生み出している
のが買取再販会社です。
リフォーム済み物件の売却価格から仕入れ価格と諸経費を引いた額が儲けとなります。
再販会社については、過去にも記事にしていたのでご参考までに。

chukomansionman.hatenablog.com

専任返しってなんなの?

不動産業界では囲い込みと呼ばれる問題が横行していることを
前回の記事で書きました。
専任返しは、その進化版というか、より楽により儲かる仕組み
だとお考えいただければ良いかなと思います。

囲い込みをして「両手仲介」となれば「片手仲介」の2倍の仲介手数料
が入ることを説明しましたが、専任返しを使えば、
「片手仲介」の4倍の仲介手数料を狙いにいくことができます。

それでは、専任返しという仕組みについて見ていきましょう。

①売主さんが仲介さんと媒介契約を結ぶ

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事情は様々ですが、何か理由があって自宅を売却することになったようです。
売主さんは自分で買いたい人を見つけたり、手続きを行うことが困難なので、
仲介会社さんに相談し、仲介をお願いするための契約=媒介契約を結びます。
仲介会社さんからすれば、この契約が取れた時点で片手分の仲介手数料は
確定したようなものです。売れさえすれば、仲介手数料が入ります。

②仲介会社さんが買取再販会社さんに声をかける

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売主さんからの依頼を受けた仲介会社さんは、
まず面識のある買取再販会社さんに相談を持ちかけます。
いくらだったら(当然相場より安い金額で)買うのか、
買取再販会社さんの確証を取り、買取再販会社に買ってもらえるよう、
仲介会社さんは一生懸命売主さんを説得します。

③買取再販会社さんが安く買う

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無事に買取再販会社さんが買うこととなれば、
売主さんと買取再販会社さんとで売買契約を結び、
後日物件代金の支払いと所有権の移転が行われます。
この時点で、両手仲介確定です。

④買取再販会社さんがリフォームを行う

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買取再販会社さんは転売屋なので、現況のままでは買い手がつかない物件に
リフォームを施します。
あまりお金をかけすぎると転売時の利益が減ってしまうし、
かといってあまりリフォーム費用をケチりすぎて売れなかったら元も子もないし、
という絶妙なラインでリフォーム費用・内容を決定し、工事を行います。

⑤買取再販会社さんが仲介会社さんと媒介契約を結ぶ【専任返し】

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ここまでで、転売の準備が整いました。
次に行われるのは、買取再販会社さんと仲介会社さんの媒介契約です。
そうです、買取再販会社さんが今度は売主となって、
仲介会社さんに仲介を依頼することになるのです。
これこそが、専任返しという仕組みなのです。
買取再販会社さんは、そもそも仕入れができないとビジネスが成り立ちません。
なので、物件を紹介してくれる仲介会社さんには頭が上がらないのです。
次回も物件を紹介してもらえるために、仲介会社さんに誠意を見せる必要があり、
売るときにも仲介をお願いするという形で、その誠意が表れています。
リフォーム後に転売するときに仲介会社さんに仲介をお願いすることは、
実は、元の売主さんから買取再販会社さんが購入する時点で約束されていたのです。

⑥買主さんがリフォーム済み物件を購入する

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最後に、仲介会社さんが自社で買主さんを見つけることができれば、
買主さんと売主である買取再販会社さんから仲介手数料を受け取ります。
これにて、一件落着。

誰が儲かるの?

この専任返しという仕組みで儲かるのは、仲介会社さんです。
なんせ「片手」の4倍の仲介手数料が入るわけですからね。

仮に売主さんの持っている物件の相場が3,000万円だとして、
相場よりも500万円安い2,500万円で買取再販会社さんが買取り、
リフォーム後に3,500万円で売り出し、成約した場合で試算してみましょう。

売主さん→仲介会社さん:2,500万円×3%+6万円=81万円
再販会社さん→仲介会社さん:2,500万円×3%+6万円=81万円
再販会社さん→仲介会社さん:3,500万円×3%+6万円=111万円
買主さん→仲介会社さん:3,500万円×3%+6万円=111万円
合計:384万円(税抜)

すごい、合計384万円となりました。
この仲介手数料をを片手仲介で稼ごうとすると、
1億2600万円の物件の仲介を行わなければなりません。
築浅のものと比べて単価の低い中古マンションですが、
この仕組みが使えればガツンと儲けを生み出すことができます。

何か問題があるの?

専任返し、なんだか凄まじい仕組みである事がおわかりいただけましたか?
別に仲介会社さんが儲かることは悪いことではないし、
「中古マンションは金の卵」というとなんだか悪い気はしませんよね。

しかし、この仕組みが横行すると、当然不利益を被る人も出てきます。
不動産業界、特に仲介会社さんが儲けるために、
誰が不利益を被っているのかをみていきましょう。

売主さん
売主さんは、当然のことながら物件をできるだけ高く売りたいと思っています。
専任返しの仕組みがあることによって、物件を早く売ることができるのは、
売主さんにとってもメリットとなりますが、価格は相場以下になります。
仲介会社さんは、
「いつ売れるかわからない状態で相場で売り出すより、
 少し安くてもすぐに売れるほうがいいんじゃないですか?」
と売主さんに説得して、買取再販会社さんに売るように促すと思います。
そう言われればもっともな気もしますが、
本当に「いつ売れるかわからない」のでしょうか?

現在の相場や過去の成約事例を知ることによって、
どれくらいの金額ならどれくらいの日数で決まる可能性が高い、
というところまではデータ化できるはずです。
本当は相場通りの金額でもすぐに売れたかもしれない物件を、
必要以上にに安く売却させたとすれば、それは正しいことでしょうか。

現況で物件を買いたい人
中古マンションに住む人の中には、買取再販会社さんが生み出した
リフォーム済みの物に住む人もいますが、最近では、自分で好きなように
リフォーム・リノベーションしたい人も増えています。
そのような人にとっては、余計な金額が乗ってしまっている物よりも、
まだ何も手がつけられていない現況の物件を購入したほうがお得です。
リフォームする前の状態でも、相場通りの金額で購入するのであれば、
売主さんにとっても、現況で買いたい人にとってもハッピーな取引になります。

また、売主さんから預かった物件を買取再販会社さんに買ってもらうために、
仲介会社さんが囲い込みをすることもあります。
現況で買いたい人が、他の不動産仲介会社のお客様だった場合、
そちらで決まれば片手仲介になってしまうので、
「契約予定です」と言って突き返します。
買取再販会社さんよりも高い金額で買いたい人がいるのに、
その事実が売主さんに告げられることのないまま、
相場よりも安い金額で売主さんの物件が売れてしまいます。

まとめ

専任返し、という聞きなれないであろうテーマを取り上げましたが、
中古マンションの取引において、売りたい人 ・買いたい人の利益よりも、
不動産仲介会社の利益の最大化が焦点となっていることがわかります。

仲介会社の儲けは増えるものの、そこであからさまに不利益を被る人が
いるのであれば、是正されるべき仕組みかもしれません。
専任返しによって、買取再販会社に相場以下の価格で物件が流れる仕組みは、
まさに情報の非対称性を利用した、不動産業界ならではのものと言えます。
早く売れて嬉しい売主さんもいますが、本当はより高く売れたかもしれません。

中古マンションの購入・売却を検討している方は、
専任返しという不動産の慣習について知っておいて損はないと思います。
ぜひご参考にしていただければ。

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では、また。

不動産業界のことも知っておこう②~囲い込み~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

私は不動産業界の外側にいる存在ではあるものの、
不動産業界についての知識を深めるために、
以下のテーマで3回に渡って不動産業界についてまとめてみます。

その① 仲介手数料
その② 囲い込み
その③ 専任返し

今回は、その②として囲い込みについて書いていきます。
※以降のお話しは不動産「売買」についてのお話しです。

片手と両手?

その①では仲介手数料についてまとめました。

chukomansionman.hatenablog.com

 

その中で、売りたい人・買いたい人それぞれに不動産会社が
紐づく場合もあれば、同じ不動産会社が双方の仲介を行い、
双方から仲介手数料をもらう事もできる事を記載しました。

前者の場合、つまり、売りたい人・買いたい人それぞれに
仲介会社が紐づき、それぞれに仲介手数料が支払われるケースは
業界内で「片手仲介」と呼ばれています。

それに対し、後者の様に、同じ不動産会社が双方から仲介手数料を受け取る
ケースは「両手仲介」と呼ばれています。

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囲い込みってなんなの?

「片手」「両手」という仕組みが存在するために生じてしまうのが、
囲い込みという問題です。

囲い込みとは何かというと、簡単に言えば、
売りたい人から仲介の依頼を受けた不動産会社が、
買いたい人も自社で見つけて両手仲介にしたいから、
他社に不利益を与える不正行為です。

両手仲介であれば、片手仲介の2倍の仲介手数料が入るので、
儲けだけを考えたら、なるべく両手仲介にしたいのは当然ですよね。

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囲い込みの一連の流れを見てみましょう。
色々なケースがありますので、あくまで一例です。

 ①売りたい人から仲介の依頼を受ける(※1)
 ②自社サイトや自社登録顧客を中心に買いたい人を探す
 ③すぐに買いたい人が見つからなければREINSに登録する(※2)
 ④他社から内覧依頼の相談が入る
 ⑤自社で買いたい人を見つけたいので、他社の案内を断る(※3)
 ⑥自社で買いたいお客様が見つかる
 ⑦自社客で成約となるよう売りたい人との交渉を頑張る(※4)
 ⑧無事に売買がまとまれば双方から仲介手数料を受け取れる

※1
このタイミングで売りたい人と不動産会社が「媒介契約」を結びます。
売買が成約すれば片手分の仲介手数料がもらえることはほぼ確定です。

※2
売りたい人から仲介の依頼を受けた不動産会社は、
法律で定められた期限内(約1週間)に「REINS」という不動産業者向けの
データベースに依頼内容を登録することが義務付けられています。
不動産会社はREINSで物件情報を検索し、買い人に物件を紹介し、
売たい人から依頼を受けている不動産会社に内覧の調整などの連絡を行います。

※3
「その日は売主さんが出かけていて内覧はできない(嘘だけど)」
「部屋を片付けてからじゃないと内覧できない(嘘だけど)」
「もう契約予定になっているので内覧できない(嘘だけど)」
などのそれっぽい文句で断ります。

※4
仲介手数料はおよそ売買価格の3%なので、売買価格が低くなると
仲介手数料も低くなってしまいます。
それでも、両手仲介ができるのであれば、片手仲介よりもはるかに儲かるので、
買いたい人の希望になるべく沿うように売りたい人に交渉をします。

なんで囲い込みが発生するの?

なんで囲い込みが発生するかと言えば、
買いたい人と売りたい人のエージェントをひとつの不動産会社ができるからです。
たとえばアメリカでは、売りたい人の仲介に入る不動産会社と、
買いたい人の仲介を行う不動産会社は別々でなければなりません。
売りたい人につくエージェントはより高く売れるように、
買いたい人につくエージェントはより安く買えるように、
それぞれ頑張るというのが健全な姿です。

ところが、日本では「片手」「両手」でも書いているように、
ひとつの不動産会社が双方のエージェントになることができます。
つまり、日本の不動産仲介会社(特に売りたい人から依頼を受ける側)
は誰のために動いているかと言えば、売りたい人のためでもなく、
買いたい人のためでもなく、自社の利益のために動いているという事になります。
※もちろん、そうじゃない会社や担当者はいるでしょうが。

もう2年も前の記事になりますが、囲い込みという不正に迫る
以下の記事などはかなり話題になっていた様に思います。

diamond.jp

 

囲い込みってなくならないの?

そう簡単にはなくならないでしょう。
というのも、会社が「囲い込みはダメ」と言っても、
結局は現場の担当者レベルではノルマや数字を追いかけていますから、
担当者は囲い込みをしてしまうでしょうし、それを調べる術も無いわけです。

国交省としても問題意識は持っているため、先述のREINSには、
「公開中」「申込みあり」「紹介停止中」といった登録物件の
ステータスの明示が義務付けられるようになりました。
また、改正宅建業法にも囲い込みを禁止する文言が盛り込まれるなど、
国としてもきちんと動いていることがわかります。

それでも、結局は現場担当者がしらばっくれればお咎めなしかもしれないし、
イタチごっこは続いていくでしょう。

囲い込みを無くすためには、REINSのようなデータベースを一般公開したり、
両手仲介を禁止するなどのドラスティックな対策が求められますが、
大手不動産会社からは反発しか出てこないでしょう。

まとめ

囲い込みという不正について色々書きましたが、
要は、不動産業界の都合で、せっかく買いたい物件が買えないかもしれない、
せっかく高く売れる物件が安く売れてしまうかもしれない
という事が起こっているんだということを知っておいてください。

あくまで、不動産会社・不動産業界の都合です。

不動産を売りたい人、買いたい人の利益よりも、不動産会社の利益が
追及されている現状はいかがなものでしょうか。

 

では、この辺で。
次回、その③として、専任返しという仕組みについて書いていきます。
乞うご期待。

不動産業界のことも知っておこう①~仲介手数料~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

中古マンションの事についてあれこれ言っておりますが、
実は、私は不動産業界で働いているわけではないんです。

とは言え、中古マンションについて色々考えるうえで、
不動産業界についての知識はある程度知っていた方がいいと思うんです。
なので、今回から3回にわたって、中古マンションを取り巻く
不動産業界について以下のテーマでまとめてみようと思います。

その① 仲介手数料
その② 囲い込み
その③ 専任返し

今回は、その①として仲介手数料について書いていきます。
※以降のお話しは不動産「売買」についてのお話しです。

誰が誰に払うの?

まず仲介手数料って何なのか、というと、
不動産の売買の仲介をした不動産会社に支払う成功報酬です。
個人が自分で買いたい人・売りたい人を見つけたり、
諸々の手続きを行うのは大変なので、プロが間に入り、
その報酬として仲介手数料の授受が行われることになります。
成功報酬なので、あくまで売買が成立した時に発生するものです。

では、お金の流れはどうなるかというと、
不動産を売りたい人は、売るお手伝いをしてくれた不動産会社に
成功報酬としての仲介手数料を支払う事になります。

不動産を買いたい人は、買うお手伝いをしてくれた不動産会社に
成功報酬としての仲介手数料を支払う事になります。

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上の図では、売りたい人・買いたい人のそれぞれに不動産会社が
紐づいていますが、実際にはひとつの不動産会社が売りたい人・
買いたい人両方のお手伝いをすることもよくあります。
その場合には、売りたい人も買いたい人も、同じ不動産会社に
仲介手数料を支払う事になります。

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仲介手数料っていくらなの?

仲介手数料の上限は法律により定められており、
400万円を超える不動産取引については、
不動産売買価格×3%+6万円
に消費税を加えた金額が上限となっています。
※細かく言うと、200万円以下の部分については5%、
 200万円超400万円以下の部分については4%、
 400万円超の部分については3%と定められており、
 3%+6万円と速算できます。

売りたい人から依頼を受けた不動産会社も、
買いたい人から依頼を受けた不動産会社も、
この額を超えて仲介手数料を受け取ることはできません。

ただし、ひとつの会社が双方の仲介を行った場合は、
それぞれから3%+6万円ずつの仲介手数料を受け取ることができます。

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あくまで「上限」ではあるものの、3%+6万円の仲介手数料が
支払われることが一般的です。

仲介手数料半額って見たりするけど?

WEBを見ていると、仲介手数料半額を謳う不動産会社があったりします。
これは、各社の企業努力や仕組みによって実現していると思います。
人員を厳選したり、カウルのような新しい仕組みを作る会社もあったり。

kawlu.com

ちなみに、仲介手数料半額を謳う不動産会社は中小の仲介会社です。
大手は売りたい人からの仲介の依頼も受けやすいし、
買いたい人からの問い合わせも一定数あるので、
あえて仲介手数料を下げるという、業界を壊すようなことはしません。

大手以外は売りたい人から仲介の依頼を受けることはほとんどないので、
一生懸命買いたい人を捕まえなくてはなりません。
先述したように、あくまで仲介手数料は成功報酬なので、
まずは問い合わせをもらって、内覧に行って、契約となって、
そこで初めて売り上げが立ちます。
買いたい人に選んでもらうための努力のひとつが仲介手数料半額なんですね。

もう少しカラクリもありますが、下の項目で見ていきましょう。

仲介手数料無料って見たりするけど?

これは、企業努力によって経費を削っているとか、そういう事ではありません。
そもそも仲介手数料がゼロではいくら経費を削ったところで売り上げが
立たなくなってしまいますからね。

簡単に言うと、仲介手数料無料を謳う不動産会社は、
買いたい人からは仲介手数料をもらわない代わりに、
売りたい人から仲介手数料をもらっています。
もっと言うと、ここでいう売りたい人のほぼすべては個人ではなく、
買取再販会社、つまりは不動産屋さんです。

買取再販会社は、中古物件を一度買い取り、リフォームを行い、
「リフォーム済み」「リノベ済み」物件として売り出しています。
仲介手数料無料の不動産会社は、この買取再販会社から仲介手数料をもらい、
(あるいは紹介料等仲介手数料以外の金員を受領し、)
ビジネスを回しています。

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上図の通り、売りたい人(買取再販業者)から仲介手数料をもらえる場合は、
買いたい人からの仲介手数料は無料になったりします。
売りたい人から仲介手数料がもらえなければ、仲介手数料は無料にはできません。
その場合には、法定内の仲介手数料ないしは割引した仲介手数料を支払う旨が
各社で定められていると思います。

まとめ

不動産の売買にまつわる一連の手続きを自分で行うのは、
一般の人にとってはほぼ不可能です。
その手続きや交渉事の間に入ってくれるのが不動産仲介会社で、
お手伝いをしてくれた成功報酬として支払うのが仲介手数料です。

結構な金額になりますから、下げられるなら下げたいものですが、
あまり仲介手数料の値引きを求めすぎると、不動産会社からすれば、
お手伝いしたくない客になってしまうかもしれません。

また、仲介手数料無料につられて、変な不動産会社に捕まらない様
気を付ける必要もあります。
仲介手数料無料の業者からすれば、売りたい物件に買いたい人を
あて込むことが最重要課題なので、買いたい人のためのエージェント
としての機能は極めて弱いと言えるでしょう。

では、今日はこの辺で。
次回は「囲い込み」についてまとめてみますので、お楽しみに。

中古マンションパトロール~2017.5.10~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

さぁ、今日も中古マンションパトロールに繰り出します。
中古マンションマンが気になる中古マンションを拾って行きますね〜。
※コメントは個人的見解で、内容を保証するものではありません。

秀和第二多摩川レジデンス

所在地  :東京都大田区南六郷3丁目
アクセス :京急本線「六郷土手駅」徒歩11分
価格   :2,480万円
専有面積 :55.08㎡
築年月  :1980年9月
リンク  :http://www.ohkuraya.co.jp/Search/detail/id/02201704009
オススメ度:★★★★☆

【所感】
立地がすごいです。好きな人は大好きな立地。
バルコニーの向こうはすぐ多摩川の河川敷です。
ランニングが好きな人、自転車が好きな人、
河川敷のお散歩が好きな人にはたまりませんね。
広さも55平米あるので、単身者・二人世帯なんかには十分ですし、
子供一人の三人暮らしだったら十分に暮らせそうです。
壁は秀和らしいうねうね感がありながらも、バルコニーの柵は癖なし。
どうやら、直近の修繕で柵の交換したようですね、
下の写真だといわゆる秀和の柵ですもんね。
規約はさほど厳しくないのか、柵にお布団を干しているお部屋も見られます。
交通面は強くないですが、多摩川沿いのこの環境は魅力的です。

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パークハイム弦巻

所在地  :東京都世田谷区弦巻1丁目
アクセス :東急田園都市線桜新町駅」徒歩10分
価格   :5,280万円
専有面積 :77.13㎡
築年月  :1983年2月
リンク  :http://www.rehouse.co.jp/bukkenDetail/?sDokujiKukakuId=FRMU5A02
オススメ度:★★★

【所感】
世田谷区の人気エリア、弦巻にある低層のマンションです。
外観を見る限りとても綺麗でバルコニーの柵なんかも含めて、
高級感のある中古マンションですね。
少し高い気もしたのですが、このエリアで77平米もあって、
新耐震となると、最近だとこれくらいしてもおかしくないですね。
パッと見だと管理人さんが常駐してそうな雰囲気ですが巡回です。
戸数も53戸と多くはないので、賢く巡回で回しているのでしょうか。
両面がバルコニーっていうのもいいですね。
最上階だし住んでいて気持ちの良さそうなマンションです。

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エルザタワー55

所在地  :埼玉県川口市元郷2丁目 
アクセス :埼玉高速鉄道川口元郷駅」徒歩6分
価格   :2,980万円
専有面積 :73.28㎡
築年月  :1998年3月
リンク  :http://www.ohkuraya.co.jp/Search/detail/id/20201701010
オススメ度:★★★

【所感】
戸数も多いので、最近よく売りに出されているみたいですね。
竣工当時は、集合住宅としては日本一の高さを誇った、
川口では知らない人のいないタワーマンションです。
川口駅までは徒歩だと20分近くかかってしまいますが、
エルザタワー-川口駅の循環バスが走っています。
タワーマンションに住みたい!でも予算はあげられない!
という方にとっては、都心アクセスも悪くなく、
価格としても落ち着いているので、良さそうですね。
築20年近く経って、設備は丁度替え時なので、
思い切って全面的にリノベーションしてしまうのもアリですね。

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牡丹町住宅

所在地  :江東区牡丹3丁目
アクセス :東京メトロ東西線門前仲町駅」徒歩5分
価格   :2,780万円
専有面積 :51.49㎡
築年月  :1972年10月
リンク  :https://www.higashinihonjutaku.co.jp/search_temp/details.php?rid=316314&acd=108&eid=13&assort=13
オススメ度:★★★☆☆

【所感】
牡丹、いいところですよね。
牡丹とか古石場とか、文化と歴史を感じるエリアっていいですよね。
そんな人気のエリアに経つ牡丹町住宅は、築44年になる中古マンションで、
聞いた話によると、当時の分譲価格は650万円くらいだったようです。
(ちなみに、1972年当時の大卒初任給が約53,000円)
以前この辺りをお散歩している時に、立派な中古マンションが建ってるな、
と思った事がありまして、それがこの牡丹町住宅でした。
51平米という広さなので、こちらも一人・二人、子供が小さいうちであれば
三人でも暮らせますね。
好立地で、いざ狭くなったとしてもスピーディに売り貸しできそうなので、
住み替え前提で選ぶというのも理にかなっているかもしれません。
あと、この築年数にしては珍しくペットが飼えます!

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今日はちょっと少ないですが、こんなところで。
それでは、またお会いしましょう。

中古マンションパトロール~2017.5.3~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

さぁ、張り切っていってみましょう、
中古マンションパトロール
中古マンションマンが気になる中古マンションを拾っていきますよ〜。
※コメントは個人的見解で、内容を保証するものではありません。

GWはガッツリお休みする不動産屋さんが多いので、
それほど新着がザックザクという感じではないですね〜。

たまプラーザ団地4街区2号棟 4階

所在地  :横浜市青葉区 美しが丘1丁目 
アクセス :東急田園都市線たまプラーザ駅」徒歩9分
価格   :2,580万円
専有面積 :65.92㎡(内法)
築年月  :1968年3月
リンク  :https://www.livable.co.jp/kounyu/m/detail/CXE174059/
オススメ度:★☆☆

【所感】
田園都市線の主要駅のひとつ、たまプラーザにある団地です。
間も無く築50年を迎える団地ですが、その人気は衰えませんね。
13万㎡(東京ドーム約2.8個分)の広大な敷地に1200以上のお部屋があります。
自然の多い環境や駅周辺の住みやすさからこの団地を選ぶ方もいますが、
土地持ち分の多さから資産として複数戸保有する方もいるようです。
ただし、こちらのお部屋は4階のお部屋。
団地なので階段が狭く、4階まで上がるのは荷物が多い時や、
ベビーカーがあったりすると結構大変そうです。

秀和第2自由が丘レジデンス 6階

所在地  :目黒区 中根1丁目 
アクセス :東急東横線自由が丘駅」徒歩10分
価格   :2,600万円
専有面積 :42.01㎡
築年月  :1971年2月
リンク  :https://www.livable.co.jp/kounyu/m/detail/CWW174034/
オススメ度:★★★

【所感】
秀和です。しかも自由が丘です。
それだけですごい魅力を感じてしまいます。
部屋位置的に目黒通りの音が気になったりするかもしれませんが、
気にしない方や、インプラス付ければまあいいや、
という方であればそこまでネックにはならないかもしれませんね。
広さ的には単身〜ふたり暮らしくらいなら普通に住めますから、
もしも家族構成が変わったら住み替える前提で購入するというのもアリ。
マンションノートには大規模修繕の際に玄関ドアも交換したという投稿もあり、
だとしたらめちゃくちゃいいですね。

あざみ野団地4-1-5号棟 2・3階

所在地  :横浜市青葉区 あざみ野4丁目 
アクセス :東急田園都市線あざみ野駅」徒歩12分
価格   :4,190万円
専有面積 :93.69㎡
築年月  :1982年3月
リンク  :https://www.livable.co.jp/kounyu/m/detail/CXL174041/
オススメ度:★☆☆

【所感】
こちらも根強い人気のある団地です。
たまプラーザ団地よりも新しい時代に供給されたものなので、
周辺環境含めて居住環境の「質」に重きを置いているように感じます。
メゾネットのつくりのお部屋が多く、中古マンションではあるものの、
住んでみると戸建感覚を味わえそうです。
場所の割に結構強気な価格をつけている気もしますが、
実際の専有面積も100㎡に迫る広さなので、妥当なところかもしれません。
あれ?横浜市営地下鉄延伸計画はどうなっているんでしょうね。
延伸計画が進んだら、この団地はますます価値があがりますね。 

メゾン小豆沢公園 5階

所在地  :板橋区 小豆沢2丁目 
アクセス :都営三田線志村坂上駅」徒歩9分
価格   :2,380万円
専有面積 :68.32㎡
築年月  :1985年2月
リンク  :http://www.rehouse.co.jp/mansion/bkdetail/FQ1U4A10/
オススメ度:★★★

【所感】
すごく輝く何かがあるわけではないけど、
なんというか、バランスのいいマンションだと思います。
金額も安く、専有面積も68㎡あり、耐震が気になる方には嬉しい
新耐震基準のマンションになります。
ショッピングモールも商店街もあり、地味に住みやすい街、
志村坂上」が最寄りなのも丁度良い。
都営三田線は埼玉県と繋がっていないため、上り電車は通勤時でも
それほど混雑はしないようですし、やはり丁度良い感じ。
そして、まさかのペット可は丁度良いというより、素晴らしい希少性。
引き渡しが10月と、少し先の期日になっている点は気になるところですが、
別に待ってもいいよという方にとってはいいのではないでしょうか。 

シーアイマンション駒場 7階

所在地  :世田谷区 池尻4丁目
アクセス :東急田園都市線「池尻大橋駅」徒歩10分
価格   :5,680万円
専有面積 :79.74㎡
築年月  :1972年11月
リンク  :http://www.rehouse.co.jp/mansion/bkdetail/FP6UTA11/
オススメ度:★★★

【所感】
抜群の管理体制が売りのヴィンテージマンションです。
エントランス〜管理人室の雰囲気はまるでホテルみたいですよ。
実際に近くで見てみたり、エントランスを入ってみるとわかるのですが、
建物も共用部もとにかく綺麗な状態が保たれています。
給湯器の取り付け方法など、細かいことが明確にルール化されている点も、
綺麗さが保たれる理由となっているのでしょう。
しかおこのお部屋は南西角部屋で80平米近い広さがあるので、
住んでみるとおそらくすごく気持ちの良い空間になるでしょうね。
ただし、部分的にではあるものの、天井面に吹き付けのアスベスト
使用されているという報告も上がっているそうです。
生活する分に不便はないですが、撤去するとなるとコストがかかりそうです。

エンゼルハイム若林 1階

所在地  :世田谷区若林4丁目
アクセス :東急世田谷線若林駅」徒歩3分
価格   :4,780万円
専有面積 :99.44㎡
築年月  :1983年11月
リンク  :http://www.stepon.co.jp/mansion/detail_17123012/
オススメ度:★★☆

【所感】
若林で、100㎡近くあって、4,780万円は感覚的にですが安いな、
という印象でした。
若林なら三軒茶屋までも頑張れば歩きでも20分かからずに行けるし、
お隣の松陰神社前にちょこっと歩いて行けば、
素敵なカフェや美味しいパン屋さんなどオシャレなお店が並んでいます。
広い分ランニングコストがかかるのは、まぁ仕方ないこととして、
眺望や採光がどの程度確保できるのか、という点は懸念材料になりそうです。
角部屋ではあるので、さんさんと光が差し込まなくても、
お部屋の明るさは確保できそうな気がしています。

月島ハイツ 8階

所在地  :中央区 月島4丁目
アクセス :都営大江戸線勝どき駅」徒歩3分
価格   :2,280万円
専有面積 :41.44㎡
築年月  :1974年9月
リンク  :http://www.nomu.com/mansion/id/RC930059/
オススメ度:★★☆☆☆

【所感】
これ、どうなんでしょうね。
リンク先の物件写真と間取り図がかみ合わなくて混乱中です。
写真だと3点ユニットになってるのが、間取り図だと別々になっています。
おそらく、過去に一度リフォームをしてレイアウトを変更しているのでしょう。
そんなことより、このマンションは立地がいいですね。
勝どき駅徒歩3分なんて、なかなかお目にかかれませんぜ。
広さ的には単身〜二人暮しになると思いますが、
こちらに長く住むというよりは、ライフスタイルの変化に応じて住み替え、
という選択肢を選ぶこともできる様な立地ではあります。
新築マンションの開発によってますます「いい街」感が出てきた
月島や勝どきエリアのマンションは、持っていて損はしないでしょうね。
ただ、外観をみる限り管理修繕の状況は微妙かも。

 

さて、今後も不定期にパトロールを続けますので、
トロールをした際は結果のご報告をこんな感じでさせていただきます。

では。

50㎡で家族3人暮らせるでしょうか?

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

旧耐震マンションの建て替えのための容積率緩和のニュースが
巷で話題になっていますね。

www.nikkei.com

都心部で建て替えが進むと、ますます都心回帰・職住近接という
暮らし方が加速して行くことになりそうです。

都心に需要が集中すれば、周縁の需要を奪うことになりますから、
都心部と周縁部での不動産価値の差が広がる事も考えられます。

であれば、やはり利便性のいい都心に住みたい!
という考えは至極当然で、暮らしやすさの面でも資産の面でも、
都心部で暮らすことのメリットは大きいと思います。

が、しかし。
そもそもの金額が高いことは変えようがない事実です。
住宅購入には予算がありますから、エリアを重視するのであれば、
広さを想定よりも小さくすることが必要になるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、
今回は、
『50㎡で家族3人暮らせるでしょうか?』
というテーマで話を進めてみようと思います。

 

そもそも、どれくらいの広さが必要?

50㎡で3人暮らし、どう思いますか?
狭い?広い?それとも丁度良い?

そもそも、住宅の妥当な広さを考えるときに、
どのようなに計算したらいいのか、一般論を見てみましょう。

国土交通省が示している、居住面積水準が参考になりそうです。
住生活基本計画における居住面積水準

最低居住面積水準
世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本とし
必要不可欠な住宅 面積に関する水準
・2人以上の世帯:10㎡×世帯人数+10㎡

要は、これよりも小さい面積だと普通の暮らしができないのでは、
というラインということになると思います。
仮に5歳の子供を想定すると、3~6歳の子供は0.5人換算なので、
 10[㎡/人] × 2.5[人] + 10[㎡] = 35㎡
ということになります。

誘導居住面積水準(都市居住型)
世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、
多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる
住宅の面積に関する水準
・2人以上の世帯:20㎡×世帯人数+15㎡

こちらも計算してみると、
 20[㎡/人] × 2.5[人] + 15[㎡] = 65㎡
となります。

つまり、50㎡に3人で住むというのは、
最低ラインよりは余裕があるけど、
一般的な広さからみると狭いと言えそうです。

50㎡3人暮らしの事例を見てみましょう

この内容で書き始めて、まず思い出したのが、
『あえて選んだせまい家』という書籍です。
本屋でたまたま見かけて、立ち読みしたら面白くて即買いでした。
感銘を受けたので、以前ブログでも取り上げました。

chukomansionman.hatenablog.com

気になった方は、是非読んでみてください。
53㎡5人暮らしなど驚かされます。

***

わざわざ本を読むのも面倒臭いという方も多いと思いますので、
ネット上で見られる事例を探してみますね。

丁度、50㎡にフォーカスしたページを見つけました!
なるほど、1LDKか2DKの間取りになるので、普通に暮らせそうですね。
ただし、リビングを取るか、個室を取るかの戦いになりますね。
どちらかは妥協しなければならなそうです。

fukumane.jp

***

リビングと個室の両方を充実させたい!
という方のために、リノベーションしている事例も探してみます。

まずは、こちら。
個室として仕切られているのは1部屋のようですが、
リビングと緩く繋がった寝室スペースも設けているようです。

寝室は天井が低くてもいいと割り切り、床から50㎝立ち上げて、床下を物入れにすることで収納不足も解消できた。

なるほど、上下方向の空間を有効に使う工夫としても
寝室スペースは活用されているようです。
WICと床下収納という2つの大きな収納があるのですね。

renoverisu.jp

次はこちらの事例を見てみましょう。
横に長い形を生かして上手に空間を作っています。
元の間取りと比べてリビングの解放感は格段に上がっていそうです。
壁面や建具にチェッカーガラスを用いることで、
仕切りがあっても閉塞感を感じさせない工夫がなされています。

renoverisu.jp

こんな工夫もできるかも

いくつかの事例を見たところで、
50㎡で3人暮らしなら別に大丈夫そうだなという事がわかってきました。
ほっと一安心ですね。

ただし、寝室・リビング・ 収納を全て満たすには小上がりを作るなど、
相当な工夫が必要である事もわかりました。

間取り以外にも、こんな工夫ができるかも、
という内容をいくつかご紹介させていただきます。

収納をクラウド化(minikura)

お部屋に収納が少なくても大丈夫。
季節物や使わないけど捨てられないものたちを箱に詰めて
専用の倉庫で管理してもらっちゃいましょう。
物理的な収納スペースを減らす事で、50㎡で3人でもより暮らしやすくなるはず。

minikura.com

住み替え前提での住まいづくり

家を買ったからずっと住み続けなければいけない訳ではありません。
購入して住んではみたものの、子供が大きくなったり増えたりして
手狭になる事もあるでしょう。
そうしたときには、思い切って住み替えてしまうのも1つの手でしょう。
新規に広めの物件を購入してもいいですし、
子育ての数年間は、思い切って郊外型の戸建住宅を借りて住むのも
悪くない選択ではないかと思います。

「持ち家=終の住処」という、これまでの常識にとらわれずに、
早いうちから住み替えを視野に入れて検討するのがオススメです。

 

なんやかんや色々書きましたが、
結論、3人暮らしなら50㎡で暮らせます!
とは言え、決して広さが十分にある訳ではないので、
なんらかのアイデアを取り入れて住まいづくりを進めた方が、
限られた空間の中でより満足度の高い暮らしが送れそうです。
また、好立地の50㎡くらいのマンションを持てたら、
もしも自分が住まなくなっても貸して回せるでしょうね。

・・・50㎡くらいの中古マンション欲しくなっちゃいました。

では。