不動産業界のことも知っておこう②~囲い込み~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

私は不動産業界の外側にいる存在ではあるものの、
不動産業界についての知識を深めるために、
以下のテーマで3回に渡って不動産業界についてまとめてみます。

その① 仲介手数料
その② 囲い込み
その③ 専任返し

今回は、その②として囲い込みについて書いていきます。
※以降のお話しは不動産「売買」についてのお話しです。

片手と両手?

その①では仲介手数料についてまとめました。

chukomansionman.hatenablog.com

 

その中で、売りたい人・買いたい人それぞれに不動産会社が
紐づく場合もあれば、同じ不動産会社が双方の仲介を行い、
双方から仲介手数料をもらう事もできる事を記載しました。

前者の場合、つまり、売りたい人・買いたい人それぞれに
仲介会社が紐づき、それぞれに仲介手数料が支払われるケースは
業界内で「片手仲介」と呼ばれています。

それに対し、後者の様に、同じ不動産会社が双方から仲介手数料を受け取る
ケースは「両手仲介」と呼ばれています。

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囲い込みってなんなの?

「片手」「両手」という仕組みが存在するために生じてしまうのが、
囲い込みという問題です。

囲い込みとは何かというと、簡単に言えば、
売りたい人から仲介の依頼を受けた不動産会社が、
買いたい人も自社で見つけて両手仲介にしたいから、
他社に不利益を与える不正行為です。

両手仲介であれば、片手仲介の2倍の仲介手数料が入るので、
儲けだけを考えたら、なるべく両手仲介にしたいのは当然ですよね。

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囲い込みの一連の流れを見てみましょう。
色々なケースがありますので、あくまで一例です。

 ①売りたい人から仲介の依頼を受ける(※1)
 ②自社サイトや自社登録顧客を中心に買いたい人を探す
 ③すぐに買いたい人が見つからなければREINSに登録する(※2)
 ④他社から内覧依頼の相談が入る
 ⑤自社で買いたい人を見つけたいので、他社の案内を断る(※3)
 ⑥自社で買いたいお客様が見つかる
 ⑦自社客で成約となるよう売りたい人との交渉を頑張る(※4)
 ⑧無事に売買がまとまれば双方から仲介手数料を受け取れる

※1
このタイミングで売りたい人と不動産会社が「媒介契約」を結びます。
売買が成約すれば片手分の仲介手数料がもらえることはほぼ確定です。

※2
売りたい人から仲介の依頼を受けた不動産会社は、
法律で定められた期限内(約1週間)に「REINS」という不動産業者向けの
データベースに依頼内容を登録することが義務付けられています。
不動産会社はREINSで物件情報を検索し、買い人に物件を紹介し、
売たい人から依頼を受けている不動産会社に内覧の調整などの連絡を行います。

※3
「その日は売主さんが出かけていて内覧はできない(嘘だけど)」
「部屋を片付けてからじゃないと内覧できない(嘘だけど)」
「もう契約予定になっているので内覧できない(嘘だけど)」
などのそれっぽい文句で断ります。

※4
仲介手数料はおよそ売買価格の3%なので、売買価格が低くなると
仲介手数料も低くなってしまいます。
それでも、両手仲介ができるのであれば、片手仲介よりもはるかに儲かるので、
買いたい人の希望になるべく沿うように売りたい人に交渉をします。

なんで囲い込みが発生するの?

なんで囲い込みが発生するかと言えば、
買いたい人と売りたい人のエージェントをひとつの不動産会社ができるからです。
たとえばアメリカでは、売りたい人の仲介に入る不動産会社と、
買いたい人の仲介を行う不動産会社は別々でなければなりません。
売りたい人につくエージェントはより高く売れるように、
買いたい人につくエージェントはより安く買えるように、
それぞれ頑張るというのが健全な姿です。

ところが、日本では「片手」「両手」でも書いているように、
ひとつの不動産会社が双方のエージェントになることができます。
つまり、日本の不動産仲介会社(特に売りたい人から依頼を受ける側)
は誰のために動いているかと言えば、売りたい人のためでもなく、
買いたい人のためでもなく、自社の利益のために動いているという事になります。
※もちろん、そうじゃない会社や担当者はいるでしょうが。

もう2年も前の記事になりますが、囲い込みという不正に迫る
以下の記事などはかなり話題になっていた様に思います。

diamond.jp

 

囲い込みってなくならないの?

そう簡単にはなくならないでしょう。
というのも、会社が「囲い込みはダメ」と言っても、
結局は現場の担当者レベルではノルマや数字を追いかけていますから、
担当者は囲い込みをしてしまうでしょうし、それを調べる術も無いわけです。

国交省としても問題意識は持っているため、先述のREINSには、
「公開中」「申込みあり」「紹介停止中」といった登録物件の
ステータスの明示が義務付けられるようになりました。
また、改正宅建業法にも囲い込みを禁止する文言が盛り込まれるなど、
国としてもきちんと動いていることがわかります。

それでも、結局は現場担当者がしらばっくれればお咎めなしかもしれないし、
イタチごっこは続いていくでしょう。

囲い込みを無くすためには、REINSのようなデータベースを一般公開したり、
両手仲介を禁止するなどのドラスティックな対策が求められますが、
大手不動産会社からは反発しか出てこないでしょう。

まとめ

囲い込みという不正について色々書きましたが、
要は、不動産業界の都合で、せっかく買いたい物件が買えないかもしれない、
せっかく高く売れる物件が安く売れてしまうかもしれない
という事が起こっているんだということを知っておいてください。

あくまで、不動産会社・不動産業界の都合です。

不動産を売りたい人、買いたい人の利益よりも、不動産会社の利益が
追及されている現状はいかがなものでしょうか。

 

では、この辺で。
次回、その③として、専任返しという仕組みについて書いていきます。
乞うご期待。