不動産業界のことも知っておこう④~専任返しについての追記~

皆様、こんにちは。
中古マンションマンです。

中古マンションをこよなく愛する、中古マンションマンです。

 

不動産業界の外側の人間ですが、不動産業界のことも知っておきたいな
ということで3回にわたって仲介手数料囲い込み専任返し
というテーマで記事を書いてきました。

その3回で完結するつもりだったのですが、
Twitterでありがたいご意見をいただいたので、
その④として、専任返しについてもう少し書いていこうと思います。

その①〜その③の振り返り

その①では仲介手数料についてまとめました。
売買を行う不動産業者の収入源であり、
売主さんからは売却のお手伝いをした不動産会社へ、
買主さんからは購入のお手伝いをした不動産会社へ、
成約価格の3%+6万円を上限として仲介手数料が支払われます。
売主さん・買主さんがひとつの不動産会社に支払う場合もあります。 

chukomansionman.hatenablog.com

その②では囲い込みについて言及しました。
不動産会社の収入源は上記の仲介手数料ですから、
なるべく多くの仲介手数料を手に入れたい、とできる仲介マンは思うわけです。
その結果、売主さんから売却依頼を受けた仲介業者が、買主を自分で見つけて、
双方から仲介手数料をもらえるように不正を働くことが多々あります。
これが囲い込みと呼ばれ、不動産業界の悪しき習慣のひとつです。

chukomansionman.hatenablog.com

その③では、専任返しという仕組みについて解説しました。
売主さんから売却依頼を受けた不動産仲介会社が、利益の最大化を図るため、
エンドユーザーではなく、買取再販を行う不動産会社に積極的に物件を
流すということが頻繁に行われています。
不動産仲介会社は、うまくいけば「片手仲介」の約4倍の仲介手数料
を稼ぐことができるのです。
売主さんから依頼を受けた不動産仲介会社にとっては、
ボロボロの3000万円の中古物件が1億2000万円の物件になり得るのです。

chukomansionman.hatenablog.com

売主さんにとってのメリットもあります!

Twitterにて、ようすけさんからコメントをいただきました。
不動産業界で働く方からのご意見はとても参考になります。

ありがとうございます!
先のブログでは、不動産仲介会社さんが自分の儲けしか考えていない
悪い奴のような書き方になっていましたが、そんなことはないですね。
ご指摘いただいた通り、売主さんからしても色々な事情がありますから、
一般の方に売るよりも業者に売ってしまいたいというニーズに応えて
買取再販会社さんに流すというのは売主さんのためになります。
売主さんにとってのメリットについてもまとめてみます。

すぐに売却できる

買取再販会社に売るとなれば、すぐに売却できます。
売主さんが仲介会社に相談した時点で、仲介会社さんは、
いくらなら即決できるか、買取再販会社に確認をします。
相場よりは低い金額とは言え、この金額まで下げればすぐに売れる、
という保証があるのは、お金が必要な売主さんにとってはありがたい事です。

こっそり売却できる

住まいを売りたい人も、その事情は人それぞれです。
なるべく近隣に売りに出している事・転居することを知られたくない人もいます。
部屋番号までは記載しなくても、
「〇〇マンション△階 東南角部屋」
なんて書かれたら、どの部屋かわかってしまいますよね。
売却を表に出ないように進めたい人は、その旨を仲介会社さんに相談し、
すぐに買ってくれる業者さんを紹介されたりします。
そうすれば、売りに出ていることが表に出ることなく取引が完了します。

そわそわしなくて済む

1ヶ月で売れるのか、3ヶ月かかるのか、半年経っても売れないのか。
家を売りに出すとそんな心配がついて回ります。
毎週の内覧の依頼が来て、時間を調整して受け入れて・・・
色々な人が我が家を見にくるも、一向に手を上げてくれる人は出てこない・・・
そんな時間を過ごすのは精神衛生上よくないですよね。
「希望の金額でこのタイミングまで買いたい人が出てこなかったら、
 金額は下がるけど確実に売却はできます」
という保証があることは売主さんにとっては安心材料になります。 

にこにこ現金払い

買いたい人が現れ、諸々順調に進んでいたのに、
買主さんのローンが否決になって契約が壊れてしまった・・・
また1から買いたい人を探すのは気が滅入りますね。
ただし、年間に何十件も何百件も買っている買取再販会社さんだったら
そんな心配はありません。
現金払いなので、買主さんのローンが通るかどうかの心配なんて無用です。

また、中には接道の関係などで住宅ローンでは融資が受けられない物件があります。
そんな物件を売るとなれば、買える人は現金を持っている人に限られます。
一般の方で物件を現金で買う方は少数派で、大多数は住宅ローンによって
物件購入のための資金調達を行います。
困ったな、なかなか売りにくいな、という時であっても、
買取会社は現金で購入してくれます。
ローンに難がある物件を売るときには心強い存在です。

後腐れなく売却できる

通常、中古物件を売却する場合は引渡しから3ヶ月程度は
瑕疵担保責任がついてきます。
売却が完了し、新しい所有者が住み始めてからも、
家に隠れた瑕疵があった場合、その期間内は売主さんが
補修やその費用負担をしなければいけないという取り決めです。
例えば、自分が住んでいるときは特に問題がなかったのに、
売却後に排水管から水漏れが起こってしまった時などは
瑕疵担保責任の期間内であれば売主さんの責任で補修を行います。
ところが、買取再販業者が購入する場合は、
「瑕疵担保については免責でいいですよ」
という条件を提示してきます。
瑕疵担保免責であれば、後腐れなく売却できます。

とは言え、こんなケースはやっぱり良くない

上記の通り、売主さんにとってメリットがあるのであれば
買取再販会社に物件を買ってもらうことはいいことですし、
何も問題はないと思います。

ところが、実際には、より高く売りたい売主さんがいて、
相場通りの金額で買いたい買主さんがいるのに、
その事実が売主さんに告げられぬまま、
買取再販会社に物件が流れてしまうケースも存在します。
不動産仲介会社が、情報を握りつぶしている場合です。

売主さんから売却の依頼を受けた仲介会社さんが、
買取再販会社に相談し、この金額ならすぐに買うという確約が取れたとします。
その確約を元に、売主さんと仲介会社さんで相談を行い、
特に他の案内がなければ買取再販に売りましょうかね、
ということで話が進んでいたとします。(契約はまだです)

そんな折、「その物件を買いたい」という一般の人が登場したらどうでしょう。

もしもその買いたい方が、売主さんから依頼を受けた仲介会社に
直接問い合わせてきたのであれば、購入することはできるでしょう。
しかし、買いたい方が、別の仲介会社さんに問い合わせをしたとすれば、
そもそも内覧をすることすらできないかもしれません。
前者であれば、業者に売るにせよ、一般の方に売るにせよ
どちらの場合も「両手仲介」にはなります。
ところが、後者の場合は業者に売れば「両手仲介」となり、
一般の方に売るとなれば「片手仲介」になってしまいます。

売主さんの利益=高く売るということを考えるのであれば、
業者よりも高く買ってくれる一般の人に売却すべきです。
それでも、上記のように、そうならないケースもあります。

まとめ

売りたい人も買いたい人も、一般人であれ業者であれ、
フェアな取引が行われることが一番ですよね。
長くなってしまいましたが、物件を売りたい・買いたい人は、
このような仕組みがあることについては知っておきたいですね。

f:id:chukomansionman:20170531123704j:plain

 

では、この辺で。